成績を上げる理想のモーニングルーティンとは?

脳力を上げるには体内時計の正常化が欠かせない

学力や成績は「記憶する」「考える」「アウトプットする」という一連の脳力が反映した結果です。
その脳力を上げる方法として欠かせないのは体内時計の正常化。

平日は学校や仕事があるから早起きするけど週末は遅く起きる、という方は案外多いかもしれないですが
それをしてしまうと身体の中にある体内時計が乱れ、「社会的時差ボケ」の状態になります。

体内時計の乱れは睡眠の質を低下させ、記憶力の中枢である海馬の機能を低下させてしまい
その結果学力にも影響していることが考えられます。

実際、夜型の学生は小・中学生、高校生、大学生のどの年代でも成績が良くない傾向があることがわかっています。

体内時計を正常化するのは光と食事

私たちの身体のあらゆる組織や細胞には体内時計が存在しています。
親時計(中枢時計)は脳の視交叉上核(SCN)に存在し、
子時計(末梢時計)はSCN以外の脳、肝臓、腎臓、脂肪、筋肉など全身に存在します。

親時計は光情報を網膜から受け取って子時計に情報を送ります。
朝日を浴びるとその約16時間後にメラトニンが増加のピークを迎えて
良質な睡眠に結びつくことがわかっています。

ところが現代人は部屋の照明だけでなくテレビやスマートフォンなどの液晶からも
光の刺激を受けやすい環境に置かれています。

夜でも明るい光を浴びると脳は日中と勘違いしてしまうので
照明や液晶を暗めに設定するなどして脳の機能を守ることも重要です。

そして親時計から子時計への情報は神経やホルモンなどを介して送られますが、
もう一つ重要な要素として食事のリズムがあります。
食事は親時計にも子時計にも直接的に働きかけるのと
体温を上げる(食事誘発性の熱産生)ことで時刻情報を送ることができるため
特に重要な要素であることがわかっています。

ヒトの体内時計は24.1〜24.5時間周期のため、
体内時計がうまくリセットされずに時差ボケ状態になってしまうと
体調不良や各種の生活習慣病のリスクを高めてしまうので注意が必要です。

体内時計の同調を起こす食事とは

食事をすることは体内時計の調整に重要であることがわかりましたが、
ではどのような食事を摂ると良いでしょうか。

その答えは朝食にあります。
実際、朝食を欠食する子どもは学力が低下していることも明らかになっています。

夕食から朝食の間隔を10時間以上空けると夜間は絶食の状態になります。
その間、血糖値が下がりすぎないように肝臓の中の糖質(グリコーゲン)や脂質(脂肪酸)の分解が進んで
血液中の遊離脂肪酸が上昇します。
遊離脂肪酸が上昇すると肝臓にある子時計のスイッチが入ります。
また、絶食で血液中のグルカゴン濃度も上昇し肝臓の子時計に働きかけます。

朝食を摂ってインスリンがしっかり分泌されると、
インスリン濃度に比例して肝臓の子時計が働きます。

そこで重要になるのは炭水化物とオメガ3脂肪酸(DHA、EPA)です。

炭水化物の中でもジャガイモやトウモロコシなどの野菜よりも
米が血糖値を大きく動かすこともわかっています。

オメガ3脂肪酸の中でもEPAはエゴマ油など植物油からも摂ることができますが
DHAも含まれることを考えると魚油がより理想的です。
旅館のように朝からお刺身や焼き魚、というのも素敵ですが
手軽さを考えるとしらす干しなども良さそうですね。

また、オルニチンもインスリン分泌を促進して肝臓の子時計に働きかけられるため
オルニチンを多く含むシジミやエノキ、ヒラメなども良いでしょう。
マグロもオルニチンを多く含みますが、大型魚は水銀などの重金属の問題もあるため
量は気をつけたほうが良さそうです。(妊婦さんは特に)

体内時計は大人の脳力にも影響する

体内時計を整えることは大人の脳力にも大きく関わっています。
睡眠の質に関わるメラトニンの合成能力は15歳頃をピークに減っていき、50〜60歳にもなると15歳の頃に比べて半分まで低下します。

メラトニンの生産量が落ちるのを防ぐにはやはり
●昼間は屋外で太陽の光を浴びる
●夜は明るい照明を浴びない
●早く寝る
といった行動が大切です。

お子さんはもちろんのこと、大人の脳力アップにも体内時計を整える必要がありそうですね。

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